学校の芸術鑑賞(演劇・朗読劇)の「劇団 新制作座」の演目「演劇 泥かぶら」について

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演劇 泥かぶら

演劇 泥かぶらについて

「泥かぶら」は、戦後の混乱した時代に一条の光を投げかけた名作として昭和27年10月、愛知県一宮市で初日の幕をあけました。多くの人々との魂のふれあいの中で、愛の灯をともし続けた「泥かぶら」の歩んだ道のりはそのまま人々の中で、人々と共にある新制作座の歴史とも言えましょう。今もなお、多くの人々に生きるよろこびを語りかけ、感動をもって迎えられております。
そして現在も、私たちは初心を新たに、全国の巡演を続けております。本作品を愛し続けて下さる全国の皆さまに、心から感謝申し上げます。

1971年 ブラジル公演のあいさつから

今日観ていただく「泥かぶら」という作品は、愛のしずくです。人々の心から心へ、ぽとりと落ちては拡がり、また落ちては拡がる愛のしずくの詩なのです。この作品は、他の私の作品と少し違った育ち方をしました。近代劇は(仮にその状況を古い時代においたとしても)1人の作家の書斎で書かれるものでしょう。けれど「泥かぶら」は違います。若かった私が、敗戦後の日本の瓦礫のなかで、同胞の誇りを失った無気力な魂に呼びかけたところから始まります。

私は、心で叫びました。「人間は本来、美しく、豊かに生きることを愛しているのです。そしてまた、それを主張する権利があるのです。どうか、意欲を持って下さい。意思を持って下さい。」

そして、日本中を歩きました。苦しみ多い人々の魂のふれあいの中で、この「泥かぶら」は誕生したのでした。私は旅館で、工場で、海辺で、農村で、つまり人々のなかで、この作品を書きました。その頃の私は、舞台俳優でもありましたから、私自身、「泥かぶら」を演じました。上演してからも、人々は終演後に私を取り囲み、情熱的にこの作品について語り合いました。

私は、人々の心を作品にどんどん取り込み、その願いを演技の中に生かしました。ですから、この作品に限っては、苦しみの中で生きる人々との魂のハーモニーといえる間は決して自分を見捨ててはいけない、愛情を捨ててはいけない、苦しみを乗り越す力を失ってはいけない、と思うのです。

その後、私はたくさんの作品を書きましたが、この作品が、人間の願いがもっとも率直に書かれている、と思っています。この作品の調べは、愛することの喜びと信じることの静かさでしょう。私たちは、武器と権力を持たない詩人の群れです。しかし、この笛の調べは人間におそいかかる試練に対して、何にもまして強い力を持っていると信じています。


学校関係者の皆さまへ「泥かぶら」上演のご案内

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